理事長挨拶
『世界に誇る日本のサイディング』の未来のために
窯業系サイディングをご存じだろうか?
窯業系サイディングとは主に住宅の外装材として使われている繊維混入セメント板のことで、20世紀初頭にアメリカで開発され、日本国内では1960年代に製造販売が開始された。現在国内の木造住宅ではシェア80%を超える商品に成長している。日本の窯業系サイディングは防火性、耐候性、意匠性に優れており、まさに世界に誇る外装材といえる。その窯業系サイディングは板状の定型品として製造メーカーから出荷される。その板を家の形状に合わせ加工して留め付け、外装材として機能させるのが私たちサイディング業者の仕事である。それゆえに加工した残りの破材の処分は私たちが担当する流れになる。
さて、その処分方法が問題なのである。
窯業系サイディングはセメントが原料であるが、一定の柔軟性が必要なため繊維(木繊維やパルプ等)を混入している。つまり有機物が混ぜ込んであるわけだ。そして製法上様々な化学物質が含まれている。よって廃棄物処理法によれば『管理型がれき類』に分類され、埋め立て処分されているのが現状である。つまり窯業系サイディングも処分方法を明確化せずに経済合理性を優先に普及させてしまった昭和の悪しき置き土産の一つであるわけだ。
埋め立てなのです。ダメだとわかっています。
この件で多くの議論が交わされてきた。だれがこの廃棄物の責を負うのか?「製造メーカーの責任なのでしりません」ともいえるし、そうでなければ施工業者?建築を請け負った工務店?それこそ住宅購入者?なのか。責任の所在は押し付け合いの押し問答となる。それを解決するために立ち上がったのがこのNPOなのである。
様々なリサイクル方法を検証してはいるものの、まだまだ高い壁を超える必要がある。この問題を解決しなければ、私たちの仕事を次の世代に引き渡すことができない。そんな情熱をもって活動に取り組んでいる。
『世界に誇る日本のサイディング』が今後も良き発展をとげる事を心から望みます。
NPO法人 外装エコロジーシステム
理事長 仲本 純
ニチハ株式会社さまより寄稿
窒素系外装材が主力事業である当社は「素晴らしい人間環境づくり」を目指し、他社に先駆けて全製品で完全無石綿化を実現しました。
2000年にはいわき工場に業界初のリサイクルプラントを建設、その後名古屋工場の回収設備の増強、子会社「高萩ニチハ株式会社」のリサイクル設備の譲り受けによる強化をしたほか、2004年6月には環境省から新たに産業廃棄物処理の広域認定を取得し、自社工場や工事現場から排出される端材・残材を回収して再生利用の拡大を図るなど一貫してゼロエミッション化、理想的な循環型社会の実現に向けた取り組みを進めています。
当社は、環境に配慮したさまざまな活動が求められているなか、NPOなどの民間団体の活動が活発になり、国民の環境保全に対する意識も高まってきていることから、企業、団体、行政などの各主体が相互に連携・協力して環境保全活動に取り組んでいく必要があると考えております。
そのような観点から今後のご発展を期待しております。
ニチハ株式会社